
倫理観について
虫の研究に関する本を読んだ。虫のことはその時のテンションにもよるけどそんなに嫌いではないし、かといって大好きでもない程度の感情なのだが、あまり知らないことだったのですごく面白かった。
その本は虫の生殖行為とかオスとメスの子孫を残すことに対しての行動の違いとか生存戦略とかがテーマだったのだが、なんというか研究対象が虫だとできることのスケールがデカいというか、容赦ないんだなと改めて思った。
具体的にいうと特定の特徴を持つ個体を選んでその系統を集めて20世代育てるとか、解剖するとかすりつぶしてDNAを調べるとか。とてもじゃないが人間にはできないことを虫が相手だとできるんだな、と。
そりゃそうだといえばそりゃそうなんだけど、実際研究を目にしてるわけではないただのイチ読者からすればそんなことしちゃうんだ…みたいな感想も持つのも許されたいというか、書いてる方も基本的に虫が好きな人なわけでただの研究対象のことを書いてるという割にはある種擬人化みたいな感情移入をした描写もあるわけで。
なにが言いたいかというと、読んでて倫理観がバグってくるな…ということです。
文章だけ読んでると虫相手だとここまでできるけど人間にはできないんだよなぁみたいな感じになんかなってくる。当然ダメなんだがなんで虫にはいいんだ?みたいな。たまたまSNSで回ってきたけど生態系の変化を調べるために島の虫を全滅させた研究者とかも存在するらしいですね。こわい。
私は人間についてもそれなりに興味があるので人間を調べてる本も読んだりするけど、「まだ解明されてない」とか見て「虫と同じような調べ方ができたらもう少し解明出来たりするんだろうな」とか思ってしまう瞬間が虫の本を読んだ直後だと現れてしまうっていうか。ダメですよ!!!
なんというかマッドサイエンティストが生まれてしまう理屈がわかってしまったような気がする。差別とかとはまた全然違う種類でこういう感覚バグが起きてそのまま行っちゃう人がこう…歴史上あったんだろうな…。いや闇に魅入られた科学者たちみたいなので紹介されるようななにがしはいろいろな複合要素とかもちろんあるんだろうけども。
虫に関する研究もすごく面白くて興味深いなと知れてとてもよかったんだけど、いろいろなこと考えて気をつけないといけないなと思いました(感想文)。